タグ
以前の記事
フォロー中のブログ
カテゴリ
最新のトラックバック
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
第四回です。
今日はT先生ではなく、カワダという会社の新規事業部の方のお話でした。 カワダという会社は問屋として立ち上がりながら、ダイヤブロックという商品などの メーカーでもある、ちょっと変わった会社なのです。 おもちゃ業界の変遷と、流通の変化が及ぼした小売店や問屋への影響を 話していただきました。 まず、GMS(ジェネラル・マーチャンダイジング・ストア)つまり量販店の出現 によって、例えばトイザラスなどでは、商品の説明のできる店員は少なくして、 レジへの人件費をかけるだけでよくなったんです。それに対して、駅前で昔から ちいさなおもちゃ屋さんを営んでいたお店などは、「品揃え」「買い物のしやすさ」 の点でとてもじゃないけれど立ち打ちできない。ましてや、ショッピングモールの 様なものの中に量販店が入ると、その他にもボーリングや映画、食事など、 いろんな事が用意されているのでそっちに行ってしまいます。 僕の地元のおもちゃ屋さんも、ずいぶん前につぶれてしまって、隣の駅の デパートにまでいかないとおもちゃ買えなかったですね。 でも、ガンコ親父のおもちゃ屋とか、おもちゃへの想いがある店員のいる店が 減ってしまうという事は、コンビニの商品と同じようにおもちゃが売られて行く。 そういうのって、非常に大きな問題をはらんでいると僕は思います。 それから、運送システムやFAXなどの通信手段の発達によって、中間問屋とか、 そういう間に入る会社が必要なくなったそうです。そうすると、商品おもちゃの 流通は急激にスピードアップして、まさにビジネスの、市場原理にますます 巻き込まれて行くわけで。それは結局おもちゃだけでなくて、そもそも市場と 関係の無いところにあった「遊び」まで市場に取り込んでしまう事に ならないでしょうか。 うーん、この辺に腰据えて取り組む人、必要ですね。つまり、量販、市場という ビジネスのスピード感と、そこでまわされるおもちゃ、の、裏にいる子どもたち。 この関係の健全化はどうすればいいんでしょうか。考えなければいけません。 それから、中国をはじめとした製品不良の一連の事故。これが起こってしまう メカニズムについてお話がありました。でもこのメカニズムの原因は、中国人の 性格、文化的な日本との価値観の違いにあるというニュアンスでお話があったので すが、これは多分違うと僕は思います。地球をダメにするのはインド人と中国人だ なんていう言葉が引用されていましたが、彼らをそのように急速に動かしているのは 先進国の取り組みであったり、資源貿易の関係や、そもそも資本主義の根本的な 病理にあるのではないかという、全体のシステムに原因があると考えなければ いけないと思います。問題が起きた時、そのワンステップ後ろにある原因だけを 解決しようとしても、結局またその原因が見えてくるだけです。 そもそも原因なんて、一つじゃない。中国人のせいにしてしまうのは簡単ですが、 そんなエラそうに彼らを責め立てられる立場に僕らはあるのでしょうか。 疑問です。 余談ですが、船場吉兆の”使い回し”については、僕はむしろすべての飲食店で 義務化すればいいとさえ思います。僕も飲食のキッチンでバイトしていますが、 本当に食べられるのに、目の前で捨てさせられる現実。お金をたくさん払えば 食料を無駄にしていいのでしょうか。食べて使い回しである事に気がつかない ようであれば、結果としてなんの問題があったのか、よく分かりません。 立川談志も、「豚肉を牛肉と思って食わされたやつは、だまされたとしても それでうまいうまいと言っているなら、結構じゃないか」と言っていましたが、 全人類的にもうそろそろ、サービス慣れの消費観から抜け出した方がいいと思います。 おいしいものを食べにきているのだけど、そのために消費されている食料は リアリティのある範囲でいえば、日本中で共有されているのです。その限られた資源を 社会全体として、一員としてどう消費していくかという視点を持たなければ、 モノやサービスの過剰消費や価値を生まずにゴミになる資源も増えていくし、 そりゃあ発展途上国にもしわ寄せはいくだろうし、原材料の改ざんもせざるを得ない 様な経済的状況に追い込んでしまうのではないでしょうか。 そうして地球全体はシステムとしてまわっている。別に一部の何か、誰かが悪い わけでは決してないのです。 そういう視点で、おもちゃのあり方だって見直さなければならない。 身の回りのモノをうまく活用して、遊びを、またおもちゃを創りだす事が 今最も欠けている遊びの本質だとしたら、これから私たちがやっていくべき事は それでもまだおもちゃをつくる事なんでしょうか。これ以上あらたな商品をつくる 必要があるのか、これはおもちゃ作家などを目指している方々には なかなか受け入れてもらえない視点かもしれませんが、僕は基本的にこのような考え もあって、おもちゃデザイナーを目指すのはやめました。 随分講座の話からそれてしまいましたが、そんな事を考えさせられた講義でした。 全然ダイヤブロックの話をしていませんが、それはまた、別の機会に。
by tatsuwat
| 2008-05-21 16:58
| おもちゃ論
|
ファン申請 |
||